第76回日本救急医学会関東地方会学術集会・第63回救急隊員学術研究会
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会長挨拶

 
第76回日本救急医学会関東地方会学術集会・第63回救急隊員学術研究会会長

第76回日本救急医学会関東地方会学術集会
第63回救急隊員学術研究会
会長 中川 儀英
東海大学医学部救命救急医学 教授

 
 

大会テーマ 『いのちの意味』について

『救命救急センター』、『救急救命士』—。
救命とは広辞苑によれば『危険な状況におかれた人の命を救うこと』とされています。
私たちの救急医学領域では、診療関係の言葉のなかに、『命』という文字が多用されています。他診療科ではこれほどまでに『命』に言及はされていません。
広辞苑でさらに『命』を調べてみると『生物の生きていく原動力。寿命。』とあります。
はて? 正直、救急医としてやってきた私自身としては、この意味に違和感を覚えます。

私たち救急医療に携わる者は、日常的に命が失われる場面、そしてもちろん救われる場面に数多く遭遇します。そしていかに救うかにこだわります。また最近では、多少語弊がありますが、送ることもあるかもしれません。
また実に繁忙な診療業務のなかで、例えば一日に何例ものCPRを行っていると、いつの間にか、命が失われることに感受性が鈍磨していないでしょうか。
一体、私たちが医療の対象としている『命』とは何か。いつも命と向き合っている、実経験のある救急医療に携わる者が、命とは何かを定義するとどのようになるのでしょうか。

ひとつ言えることは、その命はかけがえのないものだと言うことです。私たちにとって日常でも、本人や家族にとっては唯一無二です。
命の意味や重さをひとことで定義することは難しいかも知れません。そして文字でかけがえのないもの、というのはやはり浅薄かもしれません。
しかしその意味を何かの機会に考えることは大切なような気がします。
何かしら命が軽んじられているような出来事や事件を見聞することが多い現代にあって、少なくとも私たち救急医療者がその意味を自分なりに考えられ、あるいは語れること、そして何よりも次世代の救急医療に携わる者たちにその意味を伝えていくことが大切なのではないでしょうか。
救急医療のスペシャリストが集まる、この学術集会が『いのちの意味』を考える、一つの機会になれば幸いです